ある日突然、左股関節に激痛が走り、動けなくなった。
足を引きずるようになり、階段の上り下りができなくなった。
原因は、昔の腰痛と骨盤横のどす黒いシミ。
どこに行っても変わらなかった股関節痛は、いかにして変化したか?
股関節がちぎれそうに痛い
『主人の股関節、時間がかかるのはわかっていますから、とにかくお願いします』
奥様はイスから立ち上がり、深々と頭を下げました。
表情は思い詰めた様子で、眉間に深いしわが浮かんでいます。
「そんな、頭を上げてください。何とか頑張ります」
初診の様子です。
奥様がご主人の股関節が痛くて、心配でついてこられました。
お客様は50代男性。
某デパート勤務。
お嬢様は結婚で独立、横浜市内のマンションで奥様と2人暮らしです。
お客様の左股関節が痛くなってきたのは、2年ほど前。
『若い頃、股関節が痛くなったことは全然ないんです。ある日急に左股関節が痛くなって、その日は眠れなかったです』
「今もかなり痛いですか?」
『座っている時は、少しましです。歩いたり階段の上り下りが痛くてできません』
「転んだり、尻もちをついたり、交通事故にあったことはありますか?」
『特にないです。股関節が急にこうなって、この先どうなるか怖いですよ』
お客様は股関節に手を当て、苦々しい表情を浮かべました。
「わかりました。では、ゆっくり施術ベッドに上がって下さい」
腰を整えて股関節痛が少し楽に
お身体を調べると、骨盤はもちろん腰のゆがみがひどい。
ひざもすねもゆがんで、上半身もゆがんでいる。
下半身のゆがみが全身に広がっているか、または上半身のゆがみが股関節に負担をかけたか?
腰を軽くひねると、腰や股関節に激痛が出る。
腰をじっくり調べ、反応しているツボを調整します。
「もう一度腰をひねってください。軽くでいいですよ」
『あ、腰がだいぶ楽だ。股関節はまだ痛いです』
「昔、腰を痛めたことないですか?腰から股関節に来ることありますよ」
『いや~特にありません』
骨盤や上半身のゆがみを整えましたが、股関節痛は少し楽になりました。
『股関節はだいぶ楽になりました。次回もお願いします』
股関節痛の真相は、骨盤のピンポイントゆがみ
『股関節痛はまだありますが、ゆっくりなら階段を上れるようになりました。降りるのはまだできません』
「それは良かったですね。もっと楽になるよう頑張ります」
『先生、思い出したんですが高校生の頃、腰やったことあります』
『高校生の頃放送部でしたが、声を出すため身体を鍛えろ!とすごい運動させられて、腰を痛めました。コルセットをずっとしていましたよ』
お客様は頭をかき、苦笑いです。
やはり・・・腰痛で関節痛になることは多いです。
でも、このお客様はまだ股関節痛が残っている。
まだ調整が必要なツボが隠れているな。
しっかり調べなきゃ。
うつ伏せになってもらい、骨盤中央にある仙骨(せんこつ)や尾てい骨を調べます。
ツボがたくさん反応している。
たくさん反応している場合は「本ボス=真の原因」ではないことが多い。
となると、上半身か。
右肩と鎖骨、ろっ骨のゆがみを整えます。
「股関節を動かしてください」
『う~ん、あまり変わりません』
じゃあ、やっぱり下半身か。
仙骨や尾てい骨のツボを調整しても、あまり変わりません。
さて、どこかな・・・。
骨盤の横をさわると、左側がへこんでいる。
骨盤の横にツボはあるけど、ひょっとしたらここか?
「すみません、ちょっと左側だけズボンを下げていいですか?」
ズボンを下げてもらうと「え?何ですかこれ?」
シールを貼った場所に、ツボが反応していました。
骨盤左側の側面が、アザのように変色しています。
「骨盤の横、アザみたいになってますけど、打ったことありませんか?」
『ないんです。数年前に皮膚科に行ったら、床づれの一種だね、と言われました』
床づれ・・・寝返りできない高齢者じゃないのに。
とにかく、ここでツボを探そう。
もっとも反応が強いツボを調整。
「股関節を動かして下さい」
『あっ、股関節半分くらいになった!へえ~すごい』
お客様はアゼンとしたような、びっくりした様子で、私を見つめました。
股関節痛の真の原因は、気の抜けたツボだった
このお客様は、骨盤横のツボを調整した後、来られなくなりました。
電話で『身内の不幸があって、また電話します』とおっしゃっていました。
知り合いの鍼灸師に、お客様の骨盤の写真を見せました。
『事故やケガをしていないなら、元々骨盤が弱い体質だったんだろう。ツボが出る場所は、産毛が生えたりホクロがあったりするから』
彼はそんなアドバイスをしてくれました。
股関節痛を根本的に整えるには数か月かかるので、残念ながらぶり返しているかも。
今でもたまに思い出す、お客様です。
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